アメリカCEOのベストビジネス書100

 議論より物語を遣う、説得するより共感する、などと言われて久しいが、これはその技術をふんだんに提供してくれる、読んでいてとても気持ちのいい本である。

 最後の11冊を除き、89冊の本を、3~4頁にわたり、一冊ずつのメッセージを、実際に書かれている物語を通して伝えている。

 中でも覚えておきたい言葉をご紹介したい。

「ピーター・ドラッガーの…『これまでにビジネスをしていないというのなら、今から始めるのかね?』という質問に、(ジャック・)ウェルチは大いに影響を受けた」 『Control Your Destiny or Someone Else Wil』by Noel M. Tichy and Stratford Sherman(邦題『ジャック・ウェルチのGE革命―世界最強企業への選択』)

「また、彼(ジム・コリンズ)は企業活動を、巨大なはずみ車を押すことになぞらえた。最初は大変だが、徐々に勢いを増していき、やがて回転が加速してどんどん前身する。」『Good to Great』by Jim Collins(邦題『ビジョナリーカンパニー2――飛躍の法則』

「《返報性》という強制力の歴史は古いこのために、古代、部族内での労働が分担され、海を越えた異文化間の交易が可能となった。ハレ・クリシュナは、空港を行きかう旅行者に花を渡すことで、宗派を経済的に維持している。受け取った人のほとんどは、お返しとして自動的に少額の寄附を渡すからだ。」『Influence』by Robert B.Cialdini, Ph.D.(邦題『影響力の武器〔第二版〕――なぜ、人は動かされるのか』

「たとえば、『マーケティング』の絵では、男性が女性に『ぼくは優しい恋人だよ』と伝える。ところが『ブランディング』の絵では、女性がその男性に対し、『あなたが優しいのはわかっているわ』と伝える。このさは微妙だが、明確だ。」『Zag』by Marty Neumeier(邦題『ザグを探せ! 最強のブランドをつくるために』)

「ケーキの材料費はたった数ドルかもしれないが、誕生日の経験を買えば、その料金はケーキ代の二〇倍から五〇倍はかかるだろう。しかし、多少高くても親は気にしないはずだ。」『The Experience Economy』by B.Joseph pine Ⅱ and James H. Gilmore(邦題『[新訳]経験経済――脱コモディティ化のマーケティング戦略』)

「『現在、我々は人類史上初めて、 仕事に生活を合わせるのではなく、生活に合わせて仕事をする機会を手にしている。この機会を逃す手はないだろう』。これを達成するためには、仕事を外部へ委託する必要がある。」『The Age of Unreason』by Charles Handy(邦訳『ビジネスマン価値逆転の時代――組織とライフスタイル創り直せ』)

 紹介されている本の中にはもう読んだことのあるものも含まれ、当然相性の合わなかったものもあった。しかし未読の書の多くを、読んでみようと思う書評集である。

邦題『アメリカCEOのベストビジネス書100 』

原題 ”The 100 Best Business Books of All Time”

Jack Covert、Todd Sattersten 共著

監訳 土井英司

訳 庭田よう子

2009 原著、邦訳

講談社

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