コンサルティング業界 仕事と戦略
強いコンサルタントへの道 Global Consulting Firm
1980年代まで、コンサルタントは、顧客にアドバイスをするだけで十分な報酬を得られていた。しかし1990年代より、アドバイスに対する成果への保証を、コンサルタントに求められるようになってきた。その需要を受け、2000年頃から、報酬自体を成果に応じて受け取るような動きが目立ってきた。また近年まで非上場が珍しくなかったが、1990年代に上場する例が目立ってきた。
コンサルティングファームの組織は、他の事業会社とは異なる。すべてのファームが部署を設けているわけではない。また部署を設けているファームでも、それは主に「サービスライン」と「業界」という軸で区切られている。仕事はプロジェクト単位で進み、チームメンバーはその都度集合し、解散する。
コンサルティングファームで働く人は、役割やスキルによって四つのクラスに分けられている。アナリスト、コンサルタント、マネージャー、パートナーである。このどのクラスにいても、コンサルタントであることに変わりはない。また、すべてのクラスに人数制限はない。アナリストは、コンサルタントの見習いである。データの調査・収集や分析・検証を行い、コンサルタントの仕事を手伝う。コンサルタントに昇進すると、プロジェクトの中でひとつのパートを任されるようになる。そこで自ら仮説を立て、検証するためにアナリストに指示を出していく。マネージャーになると、コンサルタントとして一人前になったと言われるようになる。プロジェクトの全責任を負い、顧客との直接の意見調整や、予算管理まで任されるようになる。パートナーは、コンサルティングファームの共同経営者である。
この職場では、大きな成果が求められ、そのためには仕事に多くの時間を費やすようになる人が少なくない。もちろん学習の機会と資金はファームが出してくれるため、早く成長することができる。「コンサルタントとしての一1年は、一般のサラリーマンの3年にあたる」ともいわれるほどだ。そしてここで長年腕を鍛えた後、もっと厳しい要求をする世界を求めて、新しい事業を興す人が少なくない。
人によっては深夜まで、休日を返上して働く場合もあるなかで、新卒直後の給与はあまり高くない。年間400万円台というところも少なくない。アップ・オア・アウトという、昇進できなければ退社する、というルールも厳しい。しかし、仕事自体のおもしろさから、多くの人に人気である。
コンサルティングの仕事の上では、常識を塗り替えることを提案していく必要がある。しかしそれは知識が不要であるとか、常識を知らなくていいということではない。あらゆる情報を集め、分析し、常識を備えた上で、超える時に、成功がもたらされる。
コンサルティング業界 仕事と戦略
強いコンサルタントへの道 Global Consulting Firm
みんなの就職 コンサルティングキャリアグループ
2003
東洋経済新報社